制作年:2015年
原作:麻野涼さん作 『死の臓器』
脚本:高山直也さん、鈴木智さん
音楽: 末廣健一郎さん
プロデューサー:加納貴治さん、江森浩子さん
監督:佐藤祐市さん
1.あらすじ
しらを切り続ける船橋さん(川野直輝さん)の取り調べが難航する中、白井刑事(豊原功補さん)に船橋さんのアリバイが証明されたことが知らされます。捜査はふりだしに戻ってしまったかと思いきや、白井さんは沼崎さんと共に、王小紅さん(桜井由紀さん)と知り合いだったある女性にたどり着きます。そこで、沼崎さんたちは事件の大きな手掛かりをつかみます。一方、地盤の引継ぎを巡ってもめていた上原議員(柴俊夫さん)と大田院長(小木茂光さん)は、船橋さんの帰国をきっかけに決裂し…。『死の臓器』、衝撃の最終話です。
2.感想
第5話は、まさに『死の臓器』の集大成でした。まるでそれぞれの登場人物が今まで選んできた生き方の答え合わせのようで、今回のお話だけで、いくつものドラマを見たような気になりました。結末は、少し変わった終わり方でした。それがかえって新鮮で、ドラマが終わった後も、本編では描かれなかった部分について延々と考えてしまいました。最終回ということで、エンドロールの部分にはいつもと違う映像が使われていました。映画のワンシーンのようにきれいな映像で、芸術的なところが好きでした。
孝太郎さんの「答えはNOです」、とても重みのある台詞でした。報道者の持つ言葉の影響力を分かった上で、あえて自分の立場を明確にした沼崎さんの勇気の大きさは、計り知れません。「私たちは、何者でしょうか」も胸に突き刺さる言葉でした。孝太郎さんの強い眼差しが、事件が引き起こされてしまったことに対する沼崎さんの深い悲しみの全てを表現していました。心の中にあった思いを淡々と語る沼崎さんに、心を大きく揺さぶられます。孝太郎さんの天才さが、鮮明に表れるシーンでした。
孝太郎さんが撮りためた動画を見直していたシーン、とても印象的でした。このドラマでは無言の場面も多い孝太郎さんですが、今回は今までの焦りとは違って、沼崎さんの冷静さと前向きな気持ちが表現されていました。目線の動きから沼崎さんの回想の様子が伝わってくる、孝太郎さんの演技力抜群のシーンでした。沼崎さんが最後に日野先生を訪ねた場面も欠かせません。沼崎さんと日野先生が「記者」対「医者」としてではなく、一対一の人間として向き合っていて、心に残る場面でした。
他にも今回は沢山見どころがありました。並川良子さん(新妻聖子さん)の「私、お父さんのために働きたかったの」、涙が出そうになりました。 良子さんと上原議員がお互いを本当に大切に思い合っているのひしひしと伝わってきました。上原議員の演説も、今まで隠してきた政治家として、父親としての葛藤が直球で伝わってきて、切なくなりました。野呂社長(大高洋夫さん)の「スクープ連発の報道マンの苦悩は、視聴者も知りたいはずです」、良いシーンでした。沼崎さんの心からの叫びを受け止めて、その気持ちを優先させてあげようとして思わず漏れた一言に、野呂社長の優しさを感じました。
3.孝太郎さんの極み!百面相
今週の孝太郎さんの極み!百面相のシーンは、孝太郎さんが「叩かれても叩かれても、続けるしかない」とおっしゃるシーンです。今までの迷っていた気持ちが全て吹っ切れて、沼崎さんの中で方向が定まった瞬間でした。孝太郎さんの目の中に何か熱いものが宿っていて、思わず体に震えが走るような名シーンでした。皆さん見つけられるでしょうか?
まとめ
最後まで読んでいただいてありがとうございました!今改めて振り返ってみると、『死の臓器』からは本当に沢山のことを学ぶことができました。このドラマで沼崎さんや日野先生のまっすぐな言葉に触れて、医療現場の葛藤やジレンマが垣間見えた気がしました。このような社会全体にとって大切な問題を、これからはもっと意識していけるようになりたいです。それに、沼崎さんにはもう一つ、言葉の暴力が持つ力の大きさについても教えてもらいました。自分の意見が一番正しいと思っている時ほど、少し立ち止まって反対意見について考えてみることが、どれほど大事なことかが分かりました。『死の臓器』は、間違いなく一度は見るべき作品だと思います。感じることはそれぞれだと思いますが、みんなで考えていけたらいいな、と思います。
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