死の臓器　第１話

『死の臓器』は2015年に放送された、孝太郎さん主演のWOWOWの連続ドラマです。過去に闇を抱えるディレクター・沼崎恭太さんが、突然目の当たりにすることになった医療問題の現実を、葛藤しながらも突き詰めていこうとする物語です。新しい術式の認可などの大きな社会テーマと、時に他人の闇、時に自分の闇に引きずり込まれそうになりながらも向き合った沼崎さんは、私たちがどう生きていくべきなのかについて、自分なりの一つの結論を導き出そうとします。放送当時、大きな話題を呼んだ社会派医療サスペンスドラマです。

この作品には、『死の臓器』でしか見ることのできない、孝太郎さんの「沼崎恭太」としての魅力が沢山詰まっています。孝太郎さんが、荒んでいるようでいつもどこか悲し気な沼崎さんを好演していて、他の作品とは印象ががらりと変わっています。孝太郎さんの演技を通じて、この作品では社会の多くの難しい問題について、考えさせられました。それではさっそく、まとめに入りたいと思います。

死の臓器　第1話

１．あらすじ

東京のテレビ番組制作会社・クリエイティブイフプロダクションのディレクターとして働く沼崎恭太さんは、取材班と共に富士山の樹海を捜索していたところ、偶然女性の遺体を発見します。外傷もなく、驚くほど保存状態の良かったその遺体には、一見何の不審な点もないように見えました。ところが検死の結果、ある衝撃の事実が判明します。一方、沼崎さんは会社の野呂社長（大高洋夫さん）に特番のための追加情報を提出するように言われ、事件について調べることになります。このことが思わぬ事態の幕開けとなることは、沼崎さんには知る由もありませんでした…。

２．感想

『死の臓器』を初めて見た時の感想は、「全く先が読めない」でした。色々な謎が深まっていく中で、次に何が起こるのか見当もつかないまま、気付けば物語に引き込まれています。沼崎さんの役柄も、孝太郎さんの印象とはかけ離れていて、非常にシリアスです。孝太郎さんの新境地が見られたような気がしました。

孝太郎さんの「過去は消せない」、沼崎さんが抱えている責任感や罪悪感の大きさがありありと伝わってくる、重みの効いた台詞でした。孝太郎さんの思いつめた表情から沼崎さんの強い正義感が感じられて、密度の濃いシーンでした。「俺が抱いたのと同じ疑問を感じているからだ」もビシッと決まっていました。沼崎さんの勘の鋭さは一級品ですね。この台詞で、沼崎さんの質問をのらりくらりとかわしていた白井さん（豊原功補さん）の本音を、遂に引き出しました。

孝太郎さんのバッティングシーン、すごい気迫でした。何も言わずに球を打っているだけで、沼崎さんの葛藤が孝太郎さんの表情や仕草からあふれ出ていました。野球をされていたみたいで、フォームもきれいでしたね。会社から機材を持ちだすシーンも良かったです。沼崎さんのただならぬ覚悟と共に、報道関係者としての気概が伝わってきて、まさに手に汗握るようでした。

他にも今回は沢山見どころがありました。高倉裕美さん（小島藤子さん）の「それが、せめてもの恩返しかなって」、裕美さんのお母さんへの気持ちを思うと、胸がつぶれそうになりました。お母さんのために何かをしてあげたくてもしてあげられない裕美さんの辛さや焦燥感が表れていて、第一話の中のとても大切な一場面でした。面会室から立ち去る沼崎さんを見ながらお茶をすする白井さん（豊原功補さん）の意味深な顔も印象的でした。警察組織の複雑さを垣間見たような気がしました。

３．孝太郎さんの極み！百面相

今回からは新企画「孝太郎さんの極み！百面相」を始めていきたいと思います。このコーナーでは、孝太郎さんの数々の名演技の中で、特にはっとさせられた、孝太郎さんの新しい一面を発見できた、というシーンを切り取って、ご紹介していきたいと思います。今回は孝太郎さんが日野病院についてのニュースを見ていたシーンです。孝太郎さんの表情の変化だけで、沼崎さんの決心が少しずつ固まっていく様子が追っていけました。皆さん見つけられるでしょうか？

まとめ